太陽光発電を設置している方はご存知かと思いますが、固定価格買取制度(FIT)は10年間で満了を迎えます。
2009年11月開始当初は48円/kWh から固定価格で買い取られていたわけですが、2019年11月から順次満了を迎えていくわけです。
例えば東京電力であれば、FIT 満了後の買取価格は8.5円/kWh !
悲しいことに、大幅に下がります...。
関連記事はこちら
そこで世間で囁かれているのが、
「これからは、売るから使うへ」
太陽光で発電した電気を売らずに貯めて、自家消費するという考えです。
しかし、これも・・家庭用蓄電池を売る為の、謳い文句感が強い!
そこで、蓄電池導入のメリット・デメリットを私なりに検証してみました。
蓄電システムについて
蓄電システムとは、電力会社から買った電気、又は太陽光発電機などの発電機器から発電した電気を蓄電池に蓄え、家庭内に電気を供給するシステムです。
パターン①
電力会社 → 蓄電池 → 電気機器
パターン②
太陽光発電
↓
電力会社 ↔ 蓄電池 → 電気機器
理想はやっぱり、②の太陽光発電からの蓄電と余剰電力を売電する方式。
何故、蓄電がすすめられるのか?
政府は温室効果ガスの排出量削減や、エネルギー自給率改善の為、再生可能エネルギー事業をすすめてきました。
太陽光発電が FIT により電力会社から買う電気より高い単価で売る事が出来たのも、再エネ普及率を上げる為の政策です。
ただ、この費用負担は年々増加し「再生エネルギー促進賦課金」として電気料金を引き上げる要因にもなりました。
FIT 満了後は売電単価が安くなるため、賦課金の圧迫は低下すると考えられますが、投資費用の回収はより困難な状況となります。
そこで、蓄電池を設置し発電した電気を蓄え自家消費する。
自給する事で高い電気の購入を抑えられ、安く売るよりも経済的というわけです。
仮に太陽光発電を未設置のご家庭でも蓄電システムを導入すると、単価の安い時間帯に蓄電池に充電し、単価の高い時間帯の購入を抑える事が出来ます。
家庭用蓄電池の価格
確かに、売電単価が下がれば売るより使う方がお得に見えますが、当然蓄電池の設置費用がかかってきます。
蓄電池の導入費用は年々下降傾向にはあるものの、家庭用で5.0kWh前後を導入した場合100万円前後といったところでしょうか。
太陽光発電と同様に、国や地方自治体で補助金制度があるので自己負担額を軽減出来ます。
(2019年は国から家庭用で最大60万円の補助金が出ます)
最新の設置費用はこちらでご確認下さい!
我が家の場合、費用回収は難しい
太陽光発電システムの回収もままならないのに、蓄電システムの費用を回収出来るのか?
↑これは高く買ってしまった私のミスですが...。
だからこそ、投資効果は慎重に考えたいと思います。
過去記事でシミュレーションした結果、
我が家の場合、このまま売電を継続すると年間支出は約4万円の見込み。
そして買電量と発電量がほぼ同じだったので、仮に蓄電システムを導入し全て自給自足したとして、年間約4万円の経済効果と考えられます。
(実際には時期により発電量に差があるので、買電・売電が発生しますが。)
単純に初期費用÷経済効果で回収年数を出してみると・・。
(例)初期費用80万 ÷ 経済効果4万 = 回収年数20年
経済効果があればいつかは回収出来るようにも思えますが、設備は経年劣化が避けられません。
蓄電池の寿命は、リチウムイオン電池で約10年と言われています。
10年後には電池交換などのメンテナンス費用が数十万円掛かるとなると、費用回収は難しいと考えた方がいいでしょう。
我が家の場合、蓄電システムの導入費用が40万円以下なら検討の余地あり。
蓄電池導入のメリット・デメリット
蓄電システムは効率的に電気を使え経済的と言われる事が多いですが、設置費用を回収出来なくては意味がありません。
我が家の電気使用量や発電量では回収が難しそうなので、費用面以外のメリット・デメリットをみていきます。
メリット
停電時に電気機器が使用出来る
デメリット
蓄電池の設置場所が必要になる
費用面を省いて考えると、蓄電池のメリットは「停電時の備え」です!
デメリットは設置場所くらいですが、屋内用もありますしなんとでもなりそう。
万が一の備えとしては有効
蓄電池は、万が一の備えとしては非常に心強いものです。
実際、災害時の停電では、
- 空調設備が使えず体調を崩す
- 食料品が保存出来ず廃棄
- スマホやテレビが使えず情報が入らない
このような事が起きていました。
特に空調設備が使えず、赤ちゃんやお年寄り、ペットが命を落とすということも...。
蓄電システムがあれば、こうした停電時の事態を回避する事が出来ます!
何より太陽光発電との相性がよく、停電が発生しても自家発電+蓄電で、長期の停電にも対応出来ます。
(晴れてればの話ですが・・・。)
万が一には大変心強い・・・、ですが昨今停電になるのは年に一度あるかないか。
もしかしたら一生ないかもしれません。
となると、蓄電システムは万が一の時の保険みたいなものかもしれません。
台風や地震など停電が発生しやすい地域の方には、経済効果もありますし備えとして十分メリットがあるでしょう。
しかし、自然災害も少なく停電リスクが少ないのであれば、費用回収は必須と考えます。
万が一の停電時の備えなら、高額な蓄電設備ではなく防災用にも使える安価なポータブル電源というのもあります。
定期的に充電さえしておけば万が一の際、スマホの充電や照明などにしばらく使う事が出来るので、これだけでもずっと安心感がありますよ。
※エアコンや冷蔵庫など、大型家電の使用には向かないので注意
【まとめ】売電から蓄電にするべきか?
蓄電が経済的なのは確かですが我が家の場合、費用回収は難しいという結論に至りました。
(10年で回収出来ない見込み)
結果、蓄電池は見送り売電継続です。
ただし、売電は電力自由化になっているので電力会社を検討します。
FIT 満了後、東京電力の買取単価は8.5円/kWh ですが、例えば『スマートFIT 』という会社なら東京電力エリアで11.5円/kWh と、3円/kWh も高い買取価格になっています。
我が家で算出すると年間1万円は差が出るので大きいです。
蓄電システムも確かに経済効果があるので、ご家庭によっては10年回収も可能かと思います。
FIT 満了時前に売電か蓄電かを、一度シミュレーションしてみてはいかがでしょうか?
回収見込みさえあれば、経済効果と停電時の備えとして非常に有効です!
停電時の備えとしては安価なポータブル電源という手もあるので、ご自宅の環境に合せて考えてみて下さい。
大事なのは、闇雲に謳い文句に流されて決めるのではなく、ご自身で費用面や効果をよく検討してから決めることです。